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Kennewickman-32


2012年4月19日。


二十分ほど川下へと漕ぐと発掘現場が見えてきた。標識があるわけではないがその位置は一目瞭然だった。発掘作業の時に周囲五十メートルほどの林を伐採したようで、いちど裸になった場所に若くて背丈が低く樹齢が揃った林が新たに成長して、その両側の林と明確な違いを見せているのである。川岸に近づき水底を覗くと、土地を所有するアメリカ陸軍工兵隊が発掘現場を覆い隠すためにヘリコプターで撒いて敷き詰めた、大きさのそろった石が広がっていた。規則的な間隔で打ち込まれた木の杭が、藪に覆われた川底へと続く緩やかな斜面に並んでいた。


ここから長い旅が始まる。そう思うと感無量になった。「今この場所から山田龍太の遠征が始まる!」と、大きな声で川に向かって叫んでみた。


道中パラパラと心地よい程度の雨が降ったものの、水流は早いが見た目は穏やかな川を何事もなくすんなりと漕ぎ、二時間ほどでベースキャンプのケネウィック港へと帰り着いた。

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