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Kennewickman-45


2012年4月22日。


日の出前午前4時に起きる。テント内の温度計は15度を指す。


暗闇の中ヘッドライトを灯して出発準備を始めた。5時間もかかったが、午前9時にカヤックを漕ぎ出した。


両岸にそそり立ち優に百メートルを超える高さの断崖は、コロンビア渓谷を下れども下れども、まるで回り灯籠のように終わることなく続いていく。渓谷が、乾いた大地の断面がゆっくりと後方へ流れゆくさまを、カヤックの上から丸一日眺めていても飽きるということがなかった。人の手が造る景観はえてして単調でしばらくすれば退屈を感じるが、自然の彫りだす景観は無限の創造性をもっており、同じ造形など一つもない。刻々と移り変わる姿に見入るばかりだ。流れゆく今を無心に楽しんでいた。


乾いた空はどこまでも碧く、渓谷の茶色い岩肌に映える。乾いた大地のところどころに僅かな緑が張り付き生きる。太陽の強い光は、色彩を、明暗を、生死を際立たせる。風のない時は滑らかな水面をパドルで漕いで楽しみ、風が吹けば帆走の爽快感を楽しんだ。

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